Monsoon Town
「やめろ!」

陣内はひまわりと男の間に入って、ひまわりの腕をつかんでいる男の手を振り払った。

ひまわりは泣いていた。

「大丈夫だ、ひまわり」

陣内はひまわりの頭に向かって手を伸ばすと、彼女の頭をなでた。

その光景に、男は信じられないと言うように目を見開いていた。

「――これでわかっただろ?」

陣内が男の方に視線を向けると、そう言った。

「お前が言っている行方不明の恋人とひまわりは別人だ」

男は受け入れられないと言うようにうつむいた。

「ひまわり、帰るぞ」

コクリとひまわりが首を縦に振ってうなずいたので、陣内は彼女の手を引くとその場から立ち去った。

外に出ると、
「大丈夫か?」

陣内はひまわりに声をかけた。
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