Monsoon Town
何もしゃべらず、ただ黙って歩いていた。

「――ごめんなさい…」

小さな声に陣内が振り返ると、ひまわりはうつむいていた。

「勝手に出歩いたうえに、彼に会って…けど、彼にお別れを言わなきゃいけないと思って…」

聞こえるか聞こえないかの小さな声で、ひまわりが言った。

陣内はひまわりに向かって手を伸ばすと、彼女の頭をなでた。

「ひまわりは悪くない。

お前はお前なりに行動したと、俺は思ってる」

さっきの怒鳴り声がウソのように、陣内は優しくひまわりに語りかけた。
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