Monsoon Town
そう言った陣内に、ひまわりは言いにくそうに目を伏せた。

「――真っ昼間にプロポーズって、あんまりロマンチックじゃないですね…」

呟くようにそう言ったひまわりに、
「あっ…」

陣内はハッと我に返った。

よくよく考えれば、時間帯は昼下がりである。

そのうえ場所は街中で、車も人も多い。

撃沈した。

陣内は顔を隠すように手でおおった。

もう少し考えて見れば、プロポーズに必要なものがない。

自分の行動に、陣内は呆れて何も言えなかった。

「陣内さん?」

「…すまない」

陣内の口から出てきたのは、謝罪の言葉だった。
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