Monsoon Town
「口うるさいのはお前も一緒だろ?」

そう言い返した藤堂に、
「性別が逆であろうとどうであろうと、お前のその性格は変わらないか」

陣内が苦笑いをする。

「ありがたいそのお言葉、決して忘れません」

藤堂はふうっと息を吐いた。

「じゃ、俺は帰る。

明日はいつも通りだろ?」

「ああ」

陣内が返事したことを確認すると、藤堂はリビングを後にした。

バタンと自宅のドアを閉めると、藤堂は静かに息を吐いた。

夏の兆しが見える夜風が心地いい。

「ったく、俺はあいつの女房か…」

その風を肌で感じながら、藤堂は呟いた。

1日の半日は、陣内と過ごすのが当たり前な生活だ。
< 51 / 433 >

この作品をシェア

pagetop