Monsoon Town
――話があるから家にきて欲しいんだ

陣内が社長として勤めている会社の会長である彼の祖父からそんな電話があったのは2日前のことだった。

あまりにも突然過ぎる話に、藤堂は驚いた。

自分に電話をかけてきたことにも、もちろん驚いたことは驚いた。

用事があるならば孫である陣内を呼べばいいのにと、藤堂は思った。

だけど、陣内の祖父が自分を呼んだのはよっぽどの急用なのかも知れない。

「それなら、なおさら陣内だよな…」

車を運転しながら、藤堂は呟いた。

陣内の秘書である自分を呼び出すと言うことは、何かあったのだろうか?

そう思って運転していたら、“藤堂”の表札がある門が見えてきた。

藤堂の実家である。

玄関前の駐車スペースに車を止めると、藤堂は車を降りた。
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