結婚恋愛
故意に胸を押し付けられても、彬は眉ひとつ動かさない
こういう状況には慣れている
「このあと、時間ある?」
「ないよ。先約があるから」
「先約?」
「美世ちゃん」
本当はそんな約束などないが、麗香がしつこいことを良く知っている彬
嘘でも使わなくては、逃げ切れない
「ねぇ、本当はご両親から言われて結婚するんでしょ?」
「どういう意味かな?」
「だって、そうとしか思えないもの。彬があんな地味女と、本気で結婚しようと思うわけない」