結婚恋愛
「社長、明日から仕事ですから」
「分かってるよ。その前に、実家に行かないと。あ、美世ちゃんのとこもね?」
「私の方はいつでも行けるので、お気になさらず」
美世はグレーのショールをたたんで、席に深く座り込む
「奥さんの家族は大事にしないと」
「・・・裏がありそうで、素直に信じられません」
「美世ちゃん、相変わらず〝鉄の女〟だね」
彬の言葉に、美世は眉間に皺を寄せる
「その・・・〝鉄の女〟という呼び方、やめてください。私、そんなんじゃありませんから」