結婚恋愛


名刺を食い入るように見つめる美世を、佐野が不思議そうに声をかける


「な、なんでも・・・ないわ」


焦ったように、美世が名刺を手帳に押し込む


「知り合い、ですか?」

「高校の同級生よ・・・それだけ」


追求をさせない美世に、佐野は言えないまま自分の席に戻る


「美世ちゃん、役員会議・・・どうかした?」


社長室から出てきた彬が、秘書課の空気の重さに気づく


「えっと・・・」

「なんでもありません」


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