結婚恋愛


微かに、鼻腔に届く甘い香り

お酒の酔うような香りではない

煙草の煙たい香りでもない

柔らかな、シャンプーの香りとでも言うのだろうか?

そんな香り


「・・・美世ちゃん・・・・・・?」


来たのだろうか、彼女が

ひんやり冷たいリビングを見渡し、彬は急激な寂しさに包まれた


自身の温かさの残るショールを見つめ、彬は再び黒のファイルに手を伸ばした


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