パフュームに繋がれて-紗枝の場合-
そのカフェは2人が大好きなスイーツの種類も豊富で。
生クリームたっぷりのガト―ショコラを思い出すだけで、もう顔がニヤけてしまう…。
「あー、ごめん。
今日はちょっと先約があって」
それなのに。亜朱実といえば、そんな私を見ながら苦笑交じりに断りを入れて来た。
「・・・課長と?」
「…、ま、まぁそうだけど…」
シュンと静まるどころか、意表をついてニヤリと笑いながら核心に迫りたくなる亜朱実の態度。
「愛しのダーリンには、絶品ケーキも負けだわ」
悔しいけど、ミステリアスな課長のファンとしては諦めもつくし。
何よりも亜朱実の嬉しそうな顔を前にしては、浮かんでいたスイーツの光景も消えていく…。
「そ、そんなんじゃないし…!」
恥ずかしさからなのか、大きな口を開けてバクッとサンドウィッチを頬張る亜朱実。
そんな仕事中の彼女は、どうやら課長に接する時に一線置いてるみたいだけど。
やっぱり放たれる空気っていうの?何だか幸せオーラが蔓延してるのよねぇ。