俺を愛して
「すっかり遅くなってしまいました..。」
言葉につられて窓の外を見ると、もうすぐで夕日が沈みそうだった。
もうこんな時間か...。
「帰るか。」
「はい。」
すっからかんでそこまで重さのない鞄を片手に持つ。
「行くぞ。」
「は、はい!」
やたらと教科書やらを詰め込んである鞄を両手に抱えながら、そいつは慌てて教室から出てきた。
重くねぇ..はずはねぇよな。
「..ほら。」
「..へ?!」
そいつの鞄を取って、代わりに俺の重さのない鞄を渡すと、マヌケな顔で俺を見てくるから、ついつい笑ってしまいそうになる。
「お前そっち持て。」
「ぁ、ありがとうございます。」
そいつは微笑みながら俺の鞄をやっぱり両手で大事そうに抱えた。