たった一つの星
あたしはそのときそれを聞いても別れようとはしなかった。別にあたしも本気じゃないし別にいい、そう思っていた。でもそんなある日だった。いつもどおりに一緒に帰っているときだった。じゅんはいきなり抱きついてきた。正直あたしは手もつないだこともなければ、ハグなんて当然のようになかった。だから自分でもかなりどきどきしていたと思う。
そしてじゅんは何も言わずにあたしにキスをしてまた歩き出した。そしてちょっと歩いてじゅんとは、別方向だからばいばいした。でもその瞬間、あたしの目からは涙がこぼれた。このときあたしの気持ちははっきりしていた。
「あたし…じゅんのこと好きじゃないんだ」
じゅんにキスされてあたしはとてつもなく、後悔に襲われた。その日あたしは、メールで別れを告げた。ただ早く別れたくて。
なのにそれから1週間経った頃、男にも女にもより戻しなとたくさん言われた。
「あたしの気持ちも知らないくせに」
そう言いたくても、あたしは、みんなの言葉に乗せられまた戻ることにした。よりを戻してもじゅんの噂は消えない。