たった一つの星

でもそこに待っていたこうきの顔は、あたしが思っていた顔とはちがく、何もないかのような普通の顔だった。あたしはその瞬間、こうきにネームを渡し、そのままなにも言わずに走ってその場を立ち去った。


「どうして何も言ってくれないの?どうして普通の顔なの?」

あたしはそんなことを考えながら、こうきが見えなくなるまで走り続けた。後ろを振り返ってもこうきは追いかけてはこない。

(あたし…これですべて終わっちゃったんだ…。)

涙が溢れてきた。その場で泣き崩れていた。






その日の夜、あたしはこうきへさよならのメールを送った。


TO:こうき
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こうき、あたしはこうきのこと
すごく好きで別れた後もたくさん
逢いたいいって迷惑かけたね。
あたし、戻ってきてくれるって
ずっと思ってた。でもこうきに
とってあたしはやっぱり友達
なんだよね。ごめんね、
今日、こうきの顔をみてはっきり
わかったよ。このネームを返したら
終わりって感じが伝わってきた。

こうきこんな弱いあたしでごめんね。

もう頼らないから、安心してね。

-END-


あたしは泣きながら最後のメールを送った。

それから10分頃こうきからメールがきた。


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