たった一つの星


『やりまくってるって』

(いつかあたしもやられるの?)

初めてのキスを奪われ、そんな初体験まで奪われたくなかったから…。でもあたしはその数日後あっけなく初体験を奪われた。泣いても泣いても、すべてあたしが悪いんだ。そう思いあたしはその日2度目の別れを告げた。

毎日、毎日あたしに言っていたじゅんの言葉。

「好き」
「離さない」

(好きならあたしをどうして、大切にしてくれなかったの?離さないって言うならどうして、あたしの嫌がることをするの?)

この日、初めてあたしは男に軽蔑という言葉を覚えた。


あたしは、当分恋なんかしないと決めた中学3年の春だった。
< 3 / 45 >

この作品をシェア

pagetop