【短】好きな人には彼氏が。
「ははは!!独り身には辛い光景だったか」


「だーかーら、お前らもうどっか行けよ。俺は忙しいんだから」


俺はさっきまで読んでいた本に、また視線を落とす。


「じゃあ信人行こっ」


「おう!!あ、今度久々に三人で飲もうぜ」


「はいはい。また今度な」


二人が行った頃、その後ろ姿をもう一度見つめる。




「はぁー…」


最悪な休日だ。


偶然会う確率なんて、きっと1%ぐらいだろ?

どんだけ運悪いんだ、俺。


忘れよう。

諦めよう。

そう思えば思う程切なくて、苦しくなる。


こんな気持ちになるぐらいなら、気付かなければよかった。


花梨のことが好きだなんて。
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