空っぽのfifteen
嗚呼。
アタシはこうやって生まれてきたのか。
そう思うと何とも不思議な気持ちだった。

アタシが芽生える種となった男に対して、母親はどんな気持ちを抱いていたのだろうか?

寂しさを紛らわすためなのか、それとも女であることを満たすためなのか。
母親は男を心から愛していたのだろうか?

アタシをその身に宿し続けたのは、その男を繋ぐための鎖にしか過ぎなかったのではないだろうか?

そんなことしか思い付かない。

醜いカエルとなった母親の呪縛を解く男はいなかった。
いや、母親をそんな醜いカエルに変えてしまったのは、男どもだ。

別に恨んじゃいない。
母親を捨てたこと。
アタシの存在を知らないこと。
だって、アタシには明美がいる。
だけど知りたい。

人として、自分のルーツを知りたいのは当然のことだろう?

だけどアタシは望まれていない子供。
知る権利すらないのだろう。

それすら『仕方のないこと』と諦めることもできる。

『諦めが肝心』なんて言葉があるが、まさにアタシにうってつけの言葉。

諦めることでしか、自分の生きている価値を保つことができないのだから。
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