恋して、チェリー
ひとりの女が、情報誌を手に教えてくれた。
最新デートスポットの下見ってことで。
放課後、【Red Cherry】って名前のカフェに寄ってくことにした。
学校の近くってことで、高校生割引なんかもあって……結構賑わってた。
その子が言った通り、2階が半分オープンテラスになっていて、オレたちはその席に座った。
「何にする~?」
「どれもおいしそう!」
ちょうど1番奥の席をオレに空けてくれた。
甘いモノに目がない女の子たちはもうメニューに夢中。
チェリーパイだの、チョコチップスコーンだのでキャイキャイ騒いでる。
「アキは?」
「オレはブリュレで」
ここは少し、大人っぽくいっとくか。
ま、写真を見りゃ確かにうまそうだ。
「ちょっとトイレ」
「あたしも~」
ぞろぞろと移動する彼女たちを見送って、セットのアイスティーに口を付けた時だった。