恋して、チェリー
まさか自分達の会話が、録音されているとは知らず
「九条センパイが本命なんだろ?」
「まぁね」
男ふたりと、“魔性”と呼ばれた女の会話が続いていく。
「でも、とんだ勘違いだよな」
制服を着崩した男が、かったるそうに呟いた。
――そんな、絡まれてるように見えたのかよ。
「こっちはフツーに楽しくおしゃべりしてだけだっつの」
と、もうひとりの男も嘆く。
「あはっ。でも、こうして付き合えたんだし」
女のおちゃらけた声が続いた。
「お前が純情そうにしてるの見ると、体がかゆくなる」
そう言って、体をかじる手振りをして女をからかった。
「なにそれっ!」
「で? いつまで続けんだよ? そのお遊び」
「とりあえず、もう1ヵ月も経ったしなぁ」
――すごくカッコいいんだけど、飽きちゃった。
エッチもあんまり上手じゃなかったし。
その言葉に、ケータイを握る手に無意識に力が入った。