恋して、チェリー
……アイツ、
「なんかあたしが初めてだったみたい」
「マジかよ~」
バカにするような笑いが続く。
……こんな女とヤッたのか。
吐き気以上に、怒りのボルテージはとっくに限界値を振り切った。
初めから上手い男なんていねぇんだよ。
上手いか下手かじゃなく、愛があるかないかなんだよ。
この女は、そんなことも分からねぇのかよ。
ふざけんじゃねぇ。
怒りに任せて、その場を立ち上がろうとする。
「アキくん?」
「もう帰っちゃうの?」
トイレから帰った女の子たちが、再び席へと着いた。
一気に現実に戻されたオレは、冷静さを取り戻した。
このケータイに録音された事実をどうするのか。
どうしたい、のか。
ブリュレの味なんて、無味以外なんも覚えてねぇ。