恋して、チェリー
「ちょっとソレ、見せろよ?」
女の子についての研究を日々欠かさない俺は、女の子のファッション雑誌を熟読。
最近はこんな服が流行ってるのかとかメイクとか。
あともちろんブランドとかもね。
常に女の子のデータは更新してかないと。
「は?」
突然、恭一がそんなことを言い出したのだ。
オレのケータイに保存された、あの女の本性。
それは再生されることはなくオレのケータイの中で眠ったままだ。
「プレゼント、買ってやろうと思って」
――女モノって分からないから。
「あ、ああ……」
明日は、ついにデートの日だ。
あの女がおそらく……、コイツをフる日。
「どうしたんだよ? なんかお前変」
冷静を装ったつもりだったが、コイツには動揺がバレバレだった。
オレだって悩んだんだ。
“真実”を言うべきか、言わざるべきか。
散々悩んだ挙げ句、オレは逃げ出した。
言う勇気がなかったんだ。
それは、コイツを見放したも同然な、卑怯な選択。
その度数は、まるちゃんの藤木なんてモンじゃない。