恋して、チェリー


週開けの月曜日だった。

コイツが変わってしまったのが。


女という生き物を信じられなくなり、敵意を抱き、どんな相手でも自分に深入りさせない。



初めて純粋に好きになった女。

初めての彼女。


自分の中でそれはどれ程“特別”だったのか。


そんな彼女に裏切られたのだ。




「……」

クスリとも笑わなくなった、無表情な恭一に、俺は何も言ってやれなかったんだ。




当たり前だよな、俺だってあの女と同じ。

コイツを裏切ったようなもんだ。


アイツの本性を知ってたのに、オレはそれから逃げたんだから。



アイツは、デート中に胡桃にねだられあの香水をプレゼントした。


恭一は知らなかったんだろう。



あの香水のテーマは“意中の彼を振り向かせる”香り。

それは恭一ではなく、九条センパイとやらに向けられた意味。


本当、アイツはどこまでも最低な女だった。


恭一の最初で最後のプレゼントにこれを受け取り、フッた。



そして、オレとアイツの間には、空白の時間が流れ始める。


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