恋して、チェリー
「バレたんですね、そのデータ」
どこまでも勘のいいらしいちぇりちゃんは、そう一言呟いた。
オレも自分自身、勘はいい方だと思ってたけど。
どうやらそれは、……自惚れみたいだ。
「そうだよ」
ここまで話す気はなかったのに。
これじゃあ、全部話したと同じことだ。
ここまでしてしまったのは、
隣で真剣にオレの話に耳を傾ける彼女――ちぇりちゃんを信じてるから。
きっとまだ、……闇の中でもがき続けるアイツを救えるのはこの子だって。
信じたいから。
その可能性に賭けてみたいから。
「なんか恭一クン、最近変わったよね」
「あいさつしても、返してくれなくなった」
「近寄りがたいオーラを放ってるっていうか」
いつもの放課後のおしゃべり会。
最近はもっぱら、アイツの話題で持ち切りだった。
おしゃべり会が終わり、ぞろぞろと帰って行く女の子たちの背中を見送った後。
オレはひとり悩んでいた。