恋して、チェリー
あたしが断れない雰囲気を作り出して、――この勝負に強制参加させる。
「受けて、立つ」
この雰囲気に浮かされたあたしは勝負を受けた。
「やった! じゃあこのことは、ちぇりちゃんから恭に話しておいてねっ」
――恭にすごく避けられてて、アキ先輩と王子にたかる女子たちのガードが固くて。
全然近付けないの。
そう言う胡桃ちゃんは、ため息をひとつこぼし、教室へと戻って行った。
今の状況だったら、胡桃ちゃんよりあたしの方が有利じゃない?
なんて、こんな甘い考えは数日後には簡単に打ち砕かれることになる。
胡桃ちゃんが勝負を申し込んで来たこと、あたしがこの勝負を受けたこと。
恭一くんに、話さなくちゃいけない。
このパニックの中、彼の教室へと向かうのはよそう……。
「ちぇり……」
「本性出したね、あの女」
比奈とキナのいる安心できる机まで戻ると、あたしはそっとケータイを握りしめた。
【To:恭一くん】
今日のお昼
あの場所で待ってるね
来てくれなきゃ
泣いちゃうから(´;ω;`)
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