恋して、チェリー


最初の2行を打って送ろうとした所で……、



「待った」

――いくらヘコんでるからって、こんな可愛げのないメールはダメ!


グサッと刺さる言葉をサラリと言われ、後の2行は比奈が考えてくれた。




「はぁ」

お弁当もろくに喉を通っていかない。

やっと王子に想いが伝わって、付き合ってちゅーして。


本当、これからって時なのに。




「ら、ラブラブしたいもん」

そんな独り言と共に、フルーツのタッパーの中にあたしの涙が落ちた。



恭一くんは、来てくれないし。


このままギクシャクした関係がいつまで続くんだろう。



ひと粒だった涙がふたつ、みっつと増えてって。

今じゃ粒で数え切れない程の涙が溢れた。




「……泣くなよ」

大好きな声が耳元で聞こえた瞬間……後ろからフワリと抱きしめられた。


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