恋して、チェリー


「大分減ったね」

――勝負を受けた日から、数日。


いつもの休み時間。

嘘のように激減したヤジウマを見ながら、キナがポツリと呟く。


あれから胡桃ちゃんは目立った行動をしていない。

恭一くんから拒絶されたのが相当効いたのか。



――『もう二度とオレの前に現れんな』

背筋が凍るような、驚く程冷たい顔で彼はそう言い放った。



あたしにみたいに、

ちょっとやそっとじゃへこたれない胡桃ちゃんでも、これは相当なダメージをくらったハズ。


今まで教室へと押し掛けてくる彼女を、散々スルーしていたツケが爆発したのか。



それはそれはすごかった……。



その点、あたしは毎日じゃないけど一緒にお昼は食べてるし

帰りもふたりで帰ることが多い。


胡桃ちゃんがこの学校に転校してくる以前の彼ではなくなってしまったけど。

いろんな表情を、またあたしが取り戻せたらって思ってたから。




「あ、メール」

――もちろん胡桃ちゃんとアドは交換済みな訳で。


こうして彼女は、ちまちまと勝負を仕掛けてくる。




【From:くるみ】

今日はふたりで帰らない?

あたしおいしい
オープンカフェ知ってるんだぁ♪

ちぇりちゃんの
名前と同じお店だよ!



---END---


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