恋して、チェリー
……だとしたら、彼女の目的は、
“あたしに彼をあきらめさせる”こと。
深く考えれば、この答えを導き出せてたハズなのに。
気が付けば、もう彼女の罠。
もがいても、もがいても……
泥沼にハマっていくだけなんだ。
「こっちはね、あたしが通ってた中学の方なんだ」
電車に乗り込んだあたし達。
見慣れない景色を見つめるあたしの隣で、胡桃ちゃんがポツリと呟く。
「そうなんだ」
そんな返事しか出来ないでいるあたしを、チラリと目配せをして苦笑いで返した。
電車を降りると、知らない街。
この街を、恭一くんは彼女と歩いたんだね。
胡桃ちゃんの“彼氏”として。
デートとかも、したんだよね。
妙にズキズキと痛む心を抱えながら、彼女の後に続いた。