恋して、チェリー
――『もうエッチしたの?』
皮肉めいた胡桃ちゃんの言葉が、何度も頭の中で響いた。
もう嫌ってくらい。
自分に魅力がないのか、あたしをそういう目で見れないのか。
……まだ胡桃ちゃんに、未練がある、とか。
だからあたしに手が出せない。
――『あんなに熱く愛されたの初めて』
白いほっぺを赤く染めてうっとりする彼女の表情が忘れられない。
どうして、どうして……?
どうしてあたし達はまだ“キス”止まりなの――?
考えれば考える程、自分がどんどん惨めになっていく。
「恭一くんのバカ……」
花柄のブランケットに潜り込んでポソッと呟く。
「姉ちゃん、ごはん出来たけど」
お風呂から上がったハルが、部屋へと入って来る。
「食欲ないから、今日はいいよ」
みんなの前で、“いつも通り”でいられる自信なんてなかった。
「なんかあった?」
あたしと同じで、勘のいいハルがそう聞いてきた。