恋して、チェリー


【姉ちゃんへ】

これなら食べれるだろ?
あんまり無理すんなよ。



そんな紙が添えられた、インスタントのトマトリゾット。


あたしが気が付くのが遅かったせいで、表面がカピカピしてる。




「ありが、と……」

その横には、いちごチョコとさくらんぼのキャンディ。


その包み紙には――ココ・ナナとマジックで名前が書かれてる。




隠したつもりだったのに。

皆にはバレバレだったんだね。



弟と、妹たちから小さな勇気をもらって。


明日は自分の気持ちと、恭一くんと素直に向き合えるように。



温かさを取り戻した手の中に、小さな包み紙がクシャリと音を立てた。


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