恋して、チェリー
「ね、恭一くん」
ふたりだけの帰り道。
いつもの道から見渡すと街は、夕焼け色に赤く染まってる。
朝元気に鳴いていたセミも今は、少しだけ静かになって。
汗で首にまとわりつく髪を払ってあたしは思い切って口を開いた。
――『愛されてるから、早く抱くとか』
――『早ければ早いほどいいってモンじゃないんだよ』
ふたりから、ずばり。
「……う、」
何も言えないでいるあたしに、
「3ヵ月」
と、比奈。
「……半年」
と、キナ。
初めて知った、ふたりの事実。
もっともっと、早いと思ってた。
もっと言っちゃえば、週きざみくらい、だと……。
意外な事実に、あたしは口をあんぐりさせた。
「やだっキナ、大切にされてる~」
ツンツンと腕をつつき、からかう比奈にキナは顔を赤くさせて黙ってしまった。