恋して、チェリー


「何?」

逆光で、――彼の表情がよく見えない。



咲坂ちぇり!
作戦その①いっきまぁすっ!




「恭一くんの家、行きたい」


大胆かもしれない。

急かもしれない。


でもこれがあたしの本音。


あの日あたしを家まで送ってくれたよね?

ママとパパは残念なことに不在だったけど。

そこはアポなし訪問だから仕方ない。


あたしの兄弟も紹介出来たし、手料理も食べてもらえた。

ココに迫られたことはまぁ、……目をつぶって。



長女だから、小さい頃から下の弟や妹たちの面倒を見てきた。

料理だって得意な方だし、掃除だって。


何より、あたしは……恭一くんのことをあまり知らない。


どこに住んでるの?

兄弟はいるのかな?


目の前の恋に全力過ぎて、ふと立ち止まってみた時気付いたんだ。


あたしは何も彼のことを知らないってこと。




「兄弟たちの晩ご飯は?」

――両親帰り遅いんじゃねぇの?


「今日は早く帰って来るって」

そこはちゃんと確認済み。


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