恋して、チェリー
このまま新たに傷を刻み込まれたら、
このハートは今度こそ――死んでしまう。
――「再生、不可です」
どこか機会じみた声と共に、緊急を意味するサイレンが頭の片隅で響いているの。
この言葉は“現実”に向けられた意味なのか“未来”なのか。
自分の心に聞く前に、あたしはまた眠りへと堕ちていく。
――夢を、見た。
見上げれば……あたしが失くした琥珀の月。
銀色に透ける星たちが、ピカピカと輝いて。
紫みたいなピンク色の雲が形を変えながら流れていく。
ふと、誰かの気配を感じて――あたしはハッと後ろへ振り返った。