恋して、チェリー


「恭一、くん……?」

全てを見透かすような瞳で、あたしをじっと見つめる。



「いつからこんなに好きになってたんだろうな」

「え、?」

「気が付けば、いつもお前のこと考えてる」

――くるくる表情を変えるお前にいつの間にか夢中になってた。




これは、夢だ。

本能的にそう思う。


恭一くんは、まだこんな……



どうして――?

どうして、そんな苦しそうに言うの?

何かに耐えているように、彼の顔は歪んでいる。




「大切に、したかった」

――傷付く……たを、……ない。



……え? 何?
聞こえないよ――。




ついに感情を手放し無表情になった彼からは……



深い藍色をした、ひと粒の涙。




「オレなんか忘れて、新しい恋をしろ」





別れの時が、迫っていた。


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