恋して、チェリー


「本当に、早退……しようかな」

キナに連絡して、カバンを持って来てもらう。



「帰り、お見舞いに行くから」

「ありがと」

ふたりにそう返すと、あたしは足早に家に向かった。





恭一くんが、選択を下す日まで、あと2週間とちょっと。

早く回復して、もっと恭一くんに近付きたいよ。





「……っ、バカ…」

早退したのを嘘でも知ってるクセに、いくら待っても握りしめたケータイが光ることはなかった。



――少しずつ、少しずつ……彼が出すサインにあたしはまだ気付かない。



< 145 / 202 >

この作品をシェア

pagetop