恋して、チェリー
「本当に、早退……しようかな」
キナに連絡して、カバンを持って来てもらう。
「帰り、お見舞いに行くから」
「ありがと」
ふたりにそう返すと、あたしは足早に家に向かった。
恭一くんが、選択を下す日まで、あと2週間とちょっと。
早く回復して、もっと恭一くんに近付きたいよ。
「……っ、バカ…」
早退したのを嘘でも知ってるクセに、いくら待っても握りしめたケータイが光ることはなかった。
――少しずつ、少しずつ……彼が出すサインにあたしはまだ気付かない。