恋して、チェリー
次の日、久しぶりにいつもポニーテールにしている髪を下ろして学校に向かった。
「あれ?」
「なんか印象違う~」
ふたりにはやし立てられ、あたしは教室を抜け出しあの場所へ向かう。
相変わらずジリジリと眩しい太陽に、イタズラな風。
さすがのあたしも、なんとなく分かる。
今までの歴代彼氏も、皆そうだった。
“別れ”の時が迫ると、急に冷たくなって。
態度もそっけなくなって……。
少しだけだけど、治りかけていた傷が痛み出すのが分かった。
昨日のふたりの言葉を思い出す。
――『王子が胡桃ちゃんと接触したって』
あんなに嫌がってたじゃない。
――『あの女、嫌みなくらい笑っちゃって』
初めての彼女、その“特別”な枠をあたしは超えられないの……?
もう、こんなに好きになってしまったのに。
苦しくなった胸を、シャツにシワが出来るくらい握りしめて。
「っ……、くっ」
声を押し殺して、泣くことしか出来なかった。