恋して、チェリー
……そう、普通は…
今までの、あたしだったら。
「ちゃんとお礼をして、名前を聞いて、メアドもゲットする」
「そう、それ」
「“お礼”と称し、どこかデートに誘い」
「いい雰囲気に持っていって」
「最後は“相手”に告白させる、と」
ふたりの会話がどうも恥ずかしく聞こえて。
恋にオチたと思ったら、もうその瞬間からアクセル全開で……
“ブレーキ”の意味さえ知らないままそのまま突っ走る。
というのがあたしの“今まで”のパターンで。
――『ありがとう、……ございました』
小さ過ぎて、ちゃんと伝わっているか分からない……なんとも曖昧な言葉。
名前も、ましてやメアドなんて、程遠くて。
「なんとなくの、面影しか……」
なんとも残念な、結果。
むしろ残念より、散々な結果、と言った方が正しい。