恋して、チェリー
「ちぇり……」
表情を失くした顔で教室に戻るとふたりとも察してくれたみたいだった。
この前も保健室で休んで、早退までしちゃったから授業は出ないとさすがにキツい。
「……」
本当は先生の話なんて聞いてないのに、黙々とノートを取るあたしを先生が不思議そうに見ていた。
休み時間になれば、泣きはらした酷い顔のあたしをかばうように、ふたりが近くにいてくれる。
「もう、ダメかも」
どう、あがいても。
どんなに好きって言っても。
……これ以上泣いても。
離れていった彼の気持ちは取り戻せないのかな。
いつからこんな風になった――?
いつからふたりの間に溝が出来てた――?
もう2度と、彼からのメールを受信することはないのだと分かると……
手の中のケータイがいかに冷たいモノか分かった気がした。
放課後、あたしはフラれるんだ。
口の中に放り込んださくらんぼの味は、やっぱり苦いままだった。