恋して、チェリー
「……っ、」
やっとの思いで吐き出された息は――、温度のないものだった。
行き場のない想いを抱えて、あたしはこれからどうしたらいいのだろう。
茶色く焦げ付いたハートは、ピンク色には戻れない。
あたし……、死ぬの?
マンガで読んだことがある。
ガラスで出来たハートを氷の槍で打ち抜かれて。
その魔女は、永遠の眠りについてしまうの。
彼を闇から救えるのは、あたしだと思ってた。
自惚れかもしれないけど、あたしの隣でいろんな表情を見せてくれるようになってから……
そう、思ったんだ。
必要なのはあたしだって、そう言って欲しかった。
「サヨナラ」
ふたりだけの秘密“だった”場所で。
彼がいなくなった今。
あたしは小さく返事を返した。