恋して、チェリー



行きつけのコンビニで、アイスを漁る。

ココはもう決まったみたいで、両手でしっかり持っている。


ナナはまだゴソゴソとお目当てのアイスを探していた。



「……あ、」

ふと、窓の外に目をやると。


意外な人物が、あたしに向かって手を振っていた。



「ナナ、ちょっとココ見てて」

――他のお菓子も買ってていいから。


「え、いいの?」

不思議がるナナにお財布を渡すと茹だるような暑さの中、あたしは思い切って外へと飛び出した。



「ちぇり」

懐かしいものを見ているような、眼差し。


「……萩野くん」

あたしが、中学3年生の時に付き合っていた人。

彼の浮気が原因で、フッてしまったけど。


優しい眼差しは、今も変わってない。



「元気だった?」

クセのついた髪が、サラリと揺れる。

柔らかそうな髪も、その雰囲気もあの頃のままだ。


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