恋して、チェリー



家に帰ると、やっと今起きてきたのかスウェット姿のハル。


「ふぁぁ……」

寝癖だらけの髪をいじりながら、大きなあくびを漏らしてる。



「もぅ! 夏休みだからってダラダラしないのっ」

――もうお昼だよ!


そう噛みつくと。


「……」

スルーですか。


「おっ、アイスじゃん」

ふたりが持つ袋にさっそく目を付けたハル。


「ハルの分も買ってきたよ」

優しいナナが、袋からひとつ取り出す。


はぁぁ……、ま、仲良いから仕方ないか。



冷蔵庫からミルクティーのパックを持ち出したあたしは――

さっそく、ポケットに入ったアレを見ることにした。



椅子に腰掛け、プスリとストローを突き刺す。


「ん、おいしい」

水分を失った口の中に、ミルクと紅茶の程よい甘いが広がって。

ちょっぴりほっぺが痛い。


ポケットから出した手を、恐る恐る開いた。


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