恋して、チェリー


「……あ、れ…?」

学生証のその写真は、当時の彼の浮気相手の女の子だった。


今はケータイを新しくしてしまったけど、前のケータイにはキナが撮った証拠の写真もある。



机の中から古いケータイを取り出すと、フォルダの中からその写真を見つける。



「やっぱり……、間違いない」

楽しそうに話す姿は、恋人そのもの。

学生証の写真と、面影が重なる。


同一人物だ。



これを今さら渡して何なわけ?

意味が分からないんですけど。

沸々と怒りが沸いてきても、昔程じゃない。


もう過去に出来たのだから、どうだっていいんだ。


そう思い、くしゃりと丸めようとした。



「……え」

ふと、今を狙ってたかのように、目に飛び込んできた文字。



【萩野 絢香 ―ハギノ アヤカ】

上記の者を本校の生徒であることを証明する。



ま、ま、ま……ままさか。




「――妹!?」

半年以上続いたわだかまりが、解けた瞬間だった。


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