恋して、チェリー


妹、いたんだ……。

ってか、仲良すぎじゃない?


なんて今さら思っても、何にもならない。


彼の話に聞く耳を持たず、あたしが一方的にフッた結果がコレ。

今になって襲ってくる罪悪感。



「……やだ、」

あたし、何やって――……。



古いケータイから彼のアドレスを紙に書き出す。

それをすぐ様、今使っているケータイに新規登録する。



【萩野 空也 ―ハギノ クウヤ】

次のメモリを登録しますか?



“はい”のボタンを押した。




このままじゃいられない。

ちゃんと謝らない、と。


彼の中では、もう終わったことかもしれない。

でも今のあたしの中では、あの頃の思い出が蘇りつつある。


謝って、今度こそ終わりにしたいの。


今こそあなたの方から“終止符”を。



【To:空也】

学生証見たよ

本当に
あたしの勘違いだったね

ごめんなさい


---END---



この1通のメールで、思わぬ歯車が動き出す。



「……あ、雨…」

気まぐれな天気のように、恋の行方なんて――誰にも予想なんて出来ないんだ。


……神様でさえも。




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