恋して、チェリー


「気持ちいい……」

立ち入り禁止の柵を越えて、景色を見下ろす。

少し前までは、この街をふたり占めしてたんだよね。


……事実なのに。

なぜか頭の中で噛み合わない。



「全部、夢だったらいいのに」


どこで道を間違えた?

いつ落とし穴に引っかかったの?


今度は、間違わないから。


だから……もう1度、最初から。



どんなに願ったって叶わない願いが――、こんなあたしのちっぽけな願いが。



気まぐれな神様の足元に、落っこちた。


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