恋して、チェリー
「ダメダメ! ちぇりも一緒じゃなきゃ意味ないんだよ?」
ジーンとくる言葉に後押しされて結局行き先は、最近出来た大型プール施設になった。
温泉とかも一体になっていて、水着で入れるっていう。
リゾート地をイメージして造られたって聞いたからきっとすごいんだろうなぁ。
「よく考えたら温泉も楽しめるし日焼けもしないし」
「一石二鳥」
比奈の声に、キナが続いた。
今日は、楽しい1日になりそう。
「最後にもう1回だけ」
「「うん、行っておいで」」
あの場所から街を見下ろす景色。
それをあたしが大好きなことを、ふたりは知ってる。
夏休みが終わる前に、もう1度だけ。
息を切らして、あのドアへと向かう。
階段を降りて、廊下を曲がった時だった。
見覚えのある背中が、ドアの向こうへと吸い込まれるように消えていく。
「……あ…」
思わず口からこぼれた声。
ハッとして手で押さえたけど、その姿はもうドアの向こう。