恋して、チェリー
恋愛体質のあたしは、彼氏が出来ると友達よりも彼を優先しちゃうとこあるから……。
「実は……別れたの」
甘い苺味に少し苦みが混じる。
味覚、おかしくなったのかな。
――カラン……ッ
ぼおっとかき氷を見つめていたらハルが急にスプーンを落とす。
「ちょ、何やってるの……」
テーブルの下に落ちたそれを拾ってハルを下から見上げると。
「――アイツ」
なぜか無表情のハルがそう小さく呟いた。
――あ、……このハルの表情見たことある。
あたしが落ち込んだあの日……。
「オレ」
「え、?」
あたしを見ることのないまま、無表情のハルが口を開いた。
「姉ちゃんに言ってないことがある」
ただならぬ雰囲気を感じ取ったあたしは、ゴクリと喉を鳴らす。