恋して、チェリー


昔から姉ちゃんに秘密にしてきたことがある。

それを知ったら、きっとそんなに心配しなくていいよって強がって笑うと思ったから。


恋愛体質な姉ちゃんは、妄想して暴走するとこもあるけど。

相手に尽くして一途に想い続ける健気な部分だってある。


フラれる度に傷付く姉ちゃんを近くで見てきたせいか、オレがしっかりしなきゃとか。

オレが守ってあげなくちゃ、って思うようになった。



彼氏を家に連れてくると、大体連絡先を教えてもらってた。

歴代彼氏のアドレスは、ほとんど把握してる。


姉ちゃんも子供じゃないんだし、

もうそろそろこういうことを卒業しないと……って思ってた矢先のことだった。




「姉ちゃんに元気がないんだけど……、原因はアンタだろ?」

深く踏み込む気もないし、ましてオレがどうにか出来るとも思ってない。

公園にアイツを呼び出した。



橘恭一、姉ちゃんの彼氏だ。



「ああ……オレのせい、だよ」

整った顔が、微かに歪む。


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