恋して、チェリー
‐‐‐初恋刻みの古時計
――ザァァッ……
「今日は雨、か……」
寝起きの重たい頭を抱えて、薄暗い光が透けたカーテンを開ける。
夏休み、最後の日。
新しく出来た彼氏と、海にお祭りお家デート。
そんなことをいっぱい夢見てた、入学当初のあたし。
燃え上がった恋は一瞬、で。
周りなんか見えなくなる程好きになって。
こんなにも、あっけない。
あれから空也からの返信はなく、少しヘコんだままのあたし。
きっと、あたしのことなんて許せないハズだよね。
もし自分が彼に誤解されたまま、一方的にフラれてしまったら。
……やっぱり傷付くもん。
「本当、何やってんだろ……」
何で今さら彼のデータを登録してメールなんか送って。
あたしの顔なんて、きっと見たくないはず。
どうかしてた……、そう思って、彼のデータを削除しようと枕元のケータイを手に取る。
「……あ、れ?」
チカチカとピンク色の光を放つのは、メールが届いている知らせ。
ケータイを開くと「新着メール1件」と、お決まりの文字。