恋して、チェリー
‐‐琥珀の月と王子サマ
「――ない、ね」
「そうだね」
――ポト、ン。
目の前に座る、ふたりから発せられた言葉に思わず固まるあたし。
指から床へと無残にこぼれ落ちたのは、大好きなさくらんぼ。
「あ゛ぁ――ッ!今日はふたごだったのに」
片っぽしか身の残っていないさくらんぼをマジマジと見つめた。
「てか、そんな答えが欲しかったんじゃないの……っ、」
もごもごを口ごもる私に、やっと求めていた答えがもらえそうな雰囲気が漂う。
「はいはい、yesかnoではなく」
「どうやってこの状況を打破するかどうか。そうでしょ?」
すでにお弁当を食べ終え、鏡で髪をチェックしているキナ。
大人っぽい外見に加え、いつも冷静な彼女には年上の彼。
「また暴走しちゃダメだよ?」
そう言って、うふ……とふっくらとした唇がピンク色に光るのは、比奈。
長いまつげに背が小さく、どこか危うい雰囲気の持ち主。
そんな彼女には、他校に年下の彼がいたり。