恋して、チェリー


恭一くんのことは好きだけど。

やっぱりこういう性格だから。



“キスして欲しい”
“ギュッて抱きしめて欲しい”

を、あたしから言うのはマガママになってしまうのかな。



ウザい……って、思われちゃうのかな。




「公園寄ってかない?」

普段は、そんなこと言わない彼。


無愛想な声色だけど、なんだかすごく、――嬉しい。



「行くっ!」


でも、ふたり並んで座ったベンチに出来てしまった隙間。

あたしはそれを埋めるように、恭一くんの肩に頭を乗せた。





「……好き」

不意に溢れたキモチが、言葉となって流れる。


公園なんか、いつもは寄らないのに。

これが“あたし”への優しさ、だって思ったら――。



溢れた“好き”がそれをせき止めるはずのココロから流れ出して。


行きつく先は……、そう、ブレーキが崩壊したままの、アクセル。






「キスしていい?」


あたしの暴走劇が始まろうとしていた。


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