恋して、チェリー
「ダメ、かもしれない……」
始まった恋愛会談であたしは、先輩に警告されたことを話した。
「全員、玉砕だって」
――みんなみたいに、最初は意気込んでアタックしても最後は玉砕の道を辿ることになるのかな。
まだ2回しか会っていない相手。
でも、好きな気持ちは膨れていくばかり。
いつもは勝手に好きになることが多かったけど。
今回は違う。
やっぱり“助けてもらった”事実がこの気持ちに拍車をかけてしまったみたい。
あの人を想うだけで――いつもより、胸が苦しい。
切ないのに、嫌じゃない、この痛み。
「なに言ってんの」
目の前で盛大なため息をつくキナに、
「ちぇりらしくないよ」
心配そうに首を傾ける比奈。
「だ、だって……っ」
ただをこねる子供みたいに反論しようとしたあたしに、
「まだ何もしてないクセに何言ってんの?」
――ゾクリ。
そう発したキナの表情は、この世のものとは思えない程。
背筋が凍り付くような、恐怖。
親友のあたしでさえ、この顔を見たのは今までの人生の中で数回。
見下ろされる視線に、恐怖で何も言えなくなる。
「ほら、キナもこう言ってることだし……」
比奈でさえも、少し困惑しているのが伺える。