恋して、チェリー
「恭一くんのこと、あきらめないもん……っ」
それでこそ、ちぇりだよ?って言ってふたりは笑ってくれた。
一瞬で消えかかったあたしの恋の炎は、間一髪で消火を免れ、
今や甘い期待を夢見て、メラメラと燃え上がっている。
ここから、あたしの本領が発揮されることになる。
ストーカー並みの行動力に、暴走劇が追加され。
「おはよーこざいますっ!」
「……」
廊下ですれ違う時は、女子たちの視線に耐えながら笑顔で挨拶。
「あの……、一緒に帰りませんか?」
「帰んないから」
帰り、恭一くんの教室に寄ることは日課になった。
……冷たい言葉で一括されてしまうけど。
そしてあたしは……とある、体の変化を感じることになる。
「おはよーござ「ウザい」
毎日毎日、懲りずに挨拶をするあたしに、その日はついに、最後まで言わせてもらえなくて。
恭一くんに冷たい言葉を浴びせられる度に、体にゾクリと快感が走るような。
最初はやっぱり、さすがのあたしでも傷付いたよ?
でも、もう慣れたっていうか。
むしろ、もっと言って欲しいっていうか……。
Mへと目覚めてしまったのだ。
「……もっ、恭一くん大好き!」
大爆発を起こした気持ちに、あきらかに場違いな言葉。